単独親権と共同親権:法制審議会の議論に寄せて

2023年4月18日時点で、国の法制審議会が「離婚後の親権」に関して、検討を進める旨の報道がありました。

そこで検討されている親権の内容は次の二つです(参照:法務省「法制審議会家族法制部会第25回会議(令和5年4月18日開催)」)。

  • 単独親権:現行の制度(離婚後「に」父母のいずれかが単独で親権となる
  • 共同親権:新しい制度(離婚後「も」父母双方が親権者となる

2023年4月18日の時点では、国会で議論される前の段階(国会に提出されていない段階)ですので、どのような制度になるかは今後の議論次第ということになります。
したがって、共同親権の内容について正確に説明することはできません。

ただし、共同親権が導入される場合、(離婚する)父母が従来どおりの単独親権共同親権を選択できる制度となることが予想されます。
そのため、この頁では既存の親権について説明し、その後、予想される共同親権について説明を行うことにします。

親権について

親権」とは、「子どもの利益のために、監護・教育を行ったり、子の財産を管理したりする権限であり義務」とされています(参照:法務省「親権者」)。
ややこしい表現ですが、平たく言うと「子育て全般」のことを言います(民法820条~833条)。
日常的に行っている子どもの身の回りの世話や教育(しつけ)が含まれます。
また、子どものお財布を管理している場合(お年玉を預かる、あるいはお小遣いをあげる、など)、お金に関することごとも含まれます。

監護及び教育の権利義務
民法第820条
 親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う

居所の指定
民法第822条
 子は、親権を行う者が指定した場所に、その居所を定めなければならない

財産の管理及び代表
民法第824条
 親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。ただし、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない。

子を持つ親が、自分たちのことを法律上の権利・義務を負った「親権者」であると意識することは少ないと思われます。
たいていのケースでは、制度上はそのようになっているという認識で問題ありません

親権の喪失

ただし、例外的に親権を失うことがある点には注意が必要です。
例えば、親権者が子どもを虐待しているケースがそれに当てはまります(民法834条~837条)。

親権喪失の審判
民法第834条
 父又は母による虐待又は悪意の遺棄があるときその他父又は母による親権の行使が著しく困難又は不適当であることにより子の利益を著しく害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権喪失の審判をすることができる。ただし、二年以内にその原因が消滅する見込みがあるときは、この限りでない。

離婚後の親権:単独親権

さて、離婚によっても親権者は変更されます
離婚する際には、父母のいずれかのみを親権者とすることになっています。
つまり、親権者とならなかった側の親は、以後親権者ではなくなります(親権を行使できません、民法766条)。
これがいわゆる「単独親権」のことです。

婚姻中(結婚している間)は父母それぞれが親権を行使できましたが、離婚後は親権者とならなかった側は親権を行使できません
つまり、子どもの教育や進路の決定などに関与することができないということです。
ただし、離婚時の協議の内容によっては、親権者でなくても養育の義務が生じることがあります(子どもの進路は決められないが学費だけは負担する、そういう事態が生じることになります)。

離婚後の子の監護に関する事項の定め等
民法第766条
第1項
 父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
第2項
 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。
第3項
 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前二項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。
第4項
 前三項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。

共同親権(推測に基づく記述となります)

離婚後、父母のいずれかのみが親権者となる単独親権に対し、「共同親権」では、離婚後も父母の両方が親権者となる(親権を行使する)ことになります。
つまり、子どもの進路は決められないが学費だけは負担する、そういう事態を避けられることになります(学費の負担は同様ですが、子どもの進路についても関与できるようになるでしょう)。

従来は、子どもの親権を失った側が離婚後の別居によって子どもに会えなくなった結果、子どもに対する愛情も失い、養育費の負担(支払い)をしなくなるケースも多くありました
共同親権の導入によって、離婚後も子どもと会えるようになる(面会できる)ため、子どもへの愛情を失うことなく、養育費の負担も継続する可能性を高めることができます。

ただし、懸念される問題もあります。
離婚後の父母が進路など子どもに関する話し合いを成立させることができるか?という問題です。
この点が今後の議論の焦点となることが予想されます。

親権に関する私見

余談ではありますが、親権に関する私見を最後に述べおきます。
離婚後の親と子どもの関係について重要なのは、親と子の交流そのものにあろうかと思います。
現状の問題は、離婚後に親権を失った側が子どもに会えなくなることにあります。
したがって、共同親権の導入によって、子どもとの面会が制度として保障されることを目指すべきと考えます。

父母が直接話し合うことは難しくても、父と子・母と子の三者関係での話し合いを行うことによって、子どもの希望を踏まえた結論を出せるのではないかと思います。
親権にとって最も大事なことは「子の利益子の福祉、ということもあります)」を実現することにあります。
子どもは親の「所有物」ではありません。
一個の人格を持った人間です。
親(父母)がいかに自分の希望を実現するかにこだわっていては、子どもの幸せは実現できないでしょう。
親権が、子どもの取り合い、ないし相手から子どもを奪う口実になってはいけません。

共同親権の議論がどのような結論になるかは分かりません。
しかし当職は、子どもにとって最善の結論に至ることを期待してやみません。

離婚するときは離婚協議書を作成する

離婚を考えている方は「離婚協議書」の作成をお考え下さい。
協議離婚書は、離婚時に取り決めることを「契約書」としてまとめたものです(参照:離婚する前に決めること)。
親権を含め、離婚届の提出の前に必要な事項を取り決めておくと、その後のもめごとを避けることが可能となります。

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