新型コロナウイルスの感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)における分類を現在の「2類」から季節性インフルエンザと同等の「5類」に引き下げることが検討されているようです。
詳細は今後決められるのでしょうが、おおむね今年の4月以降に分類が変更されるようです。
2類から5類に変わると?
NHKの解説によると、2類と5類の違いは以下のようになっているようです。
| 2類(現在の新型コロナ) | 5類(インフルエンザ) | |
|---|---|---|
| 地方自治体 | 就業制限・入院勧告 | 措置とれず |
| 医療費 | 全額公費負担 | 一部自己負担 |
| 入院患者 | 指定医療機関 | 一般医療機関 |
| 届け出 | すべての感染者 | 全数報告求められず |
現在、新型コロナウイルスは2類に分類されているため、表の2類に示された扱いを受けることになります。
国民にとって重要なのは、「就業制限・入院勧告」が求められる2類に対し、5類になるとそれが求められなくなることでしょう。
すなわち、新型コロナウイルスが5類に分類されてからは、入院や隔離などの行動制限を受けることがなくなるということになります(注)。
(注)実際の取扱いがどうなるかの詳細は不明です。緩和されたにしても行動制限が残る可能性はあります。
感染症法の感染症の分類
参考までに、感染症法の分類について紹介することにします。
(定義等)
感染症法第6条
第1項
この法律において「感染症」とは、一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症、五類感染症、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症及び新感染症をいう。
第2項
この法律において「一類感染症」とは、次に掲げる感染性の疾病をいう。
一 エボラ出血熱
二 クリミア・コンゴ出血熱
三 痘そう
四 南米出血熱
五 ペスト
六 マールブルグ病
七 ラッサ熱
第3項
この法律において「二類感染症」とは、次に掲げる感染性の疾病をいう。
一 急性灰白髄炎
二 結核
三 ジフテリア
四 重症急性呼吸器症候群(病原体がベータコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る。)
五 中東呼吸器症候群(病原体がベータコロナウイルス属MERSコロナウイルスであるものに限る。)
六 鳥インフルエンザ(病原体がインフルエンザウイルスA属インフルエンザAウイルスであってその血清亜型が新型インフルエンザ等感染症(第七項第三号に掲げる新型コロナウイルス感染症及び同項第四号に掲げる再興型コロナウイルス感染症を除く。第六項第一号及び第二十三項第一号において同じ。)の病原体に変異するおそれが高いものの血清亜型として政令で定めるものであるものに限る。第五項第七号において「特定鳥インフルエンザ」という。)
第4項
この法律において「三類感染症」とは、次に掲げる感染性の疾病をいう。
一 コレラ
二 細菌性赤痢
三 腸管出血性大腸菌感染症
四 腸チフス
五 パラチフス
第5項
この法律において「四類感染症」とは、次に掲げる感染性の疾病をいう。
一 E型肝炎
二 A型肝炎
三 黄熱
四 Q熱
五 狂犬病
六 炭疽そ
七 鳥インフルエンザ(特定鳥インフルエンザを除く。)
八 ボツリヌス症
九 マラリア
十 野兎と病
十一 前各号に掲げるもののほか、既に知られている感染性の疾病であって、動物又はその死体、飲食物、衣類、寝具その他の物件を介して人に感染し、前各号に掲げるものと同程度に国民の健康に影響を与えるおそれがあるものとして政令で定めるもの
第6項
この法律において「五類感染症」とは、次に掲げる感染性の疾病をいう。
一 インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く。)
二 ウイルス性肝炎(E型肝炎及びA型肝炎を除く。)
三 クリプトスポリジウム症
四 後天性免疫不全症候群
五 性器クラミジア感染症
六 梅毒
七 麻しん
八 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症
九 前各号に掲げるもののほか、既に知られている感染性の疾病(四類感染症を除く。)であって、前各号に掲げるものと同程度に国民の健康に影響を与えるおそれがあるものとして厚生労働省令で定めるもの
法律の定めを見ると、新型コロナウイルスが2類に分類された理由は、重症急性呼吸器症候群(ベータコロナウイルス属SARSコロナウイルス)と中東呼吸器症候群(ベータコロナウイルス属MERSコロナウイルス)というコロナウイルスが2類に分類されていたからのようです。
それをインフルエンザが分類されている5類に分類するというのは、やや一貫性を欠く処置のような気がします(注)。
(注)インフルエンザに関して、鳥インフルエンザが2類と4類、季節性インフルエンザが5類に分類されるなど、同じインフルエンザであっても感染症法上の分類が異なることと同様に、同じコロナウイルスであっても分類が異なることに医学的根拠があれば問題はありません。
感染症法上の扱いが変わっても病気がなくなるわけではありません
感染症法上、新型コロナウイルスの分類が変わっても、感染の危険性やウイルスの毒性に変化が起こるわけではありません。
その意味では、法律上の分類の変更にかかわらず、個人レベルでの感染症対策を変えるべきとは思いません。
新型コロナウイルスに関しては、後遺症などわからないことが数多くあります。
むしろ、政府の感染症対策が緩和されてからのほうが、個人レベルの感染症対策のレベルを上げる必要があるとも考えられます。
とりわけ、感染したときの治療費が自己負担(段階的に自己負担率を引き上げることが議論されているようです)となることを考慮に入れなければなりません。
マスクの着用は?
なお、最も重要なのは今後の医療体制やワクチン接種(および費用負担)がどうなるのかですが、世間的な注目度から言うと、マスクの着用がどうなるのかのほうが重要のようです。
実のところ、マスク着用に関しては、現状ですでに緩和されています(厚生労働省「マスクの着用について」)。
「屋外は原則不要、屋内では着用推奨」となっています。
そもそも、日本においてマスク着用が法律で強制されたことはありません。
したがって、マスクを着用するかどうかは本人の判断に任されています。
同時に、新型コロナウイルスの分類が2類から5類に変更されたとしても、「マスクを外す」義務が発生することもありません。
感染対策を継続する意味で、今後もマスクを着用し続けても問題ありません(注)。
すなわち、従来どおり着用を続けてもよいし、反対にマスクを外しても構いません。
(注)分類が変更されてもウイルスが消滅するわけではありませんから、感染の恐れが低下するわけではありません。事実上の危険性そのものは今後も一切変わりません。むしろ、分類の変更による感染対策や気持ちの緩みによって、逆に感染者数が増加する恐れもあります。

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