今は昔の家督相続:すべての子どもが平等に遺産を相続する

相続というと、長男が遺産のすべてを相続すると考えていませんか?

確かにかつては一人の子どもが親の遺産のすべてを相続(家督相続)していましたが、現在は、原則として(法定相続子ども全員が等しい割合で相続(均分相続)することになっています(民法900条1号、4号)。

すなわち、長男、次男、長女、および次女などの生まれた順番や性別にかかわりなく、同じ金額を相続するのです。

民法
(法定相続分)
第900条
 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
一 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
二 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。
三 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。
四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。

出典:e-Gov法令検索 民法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089)

なお、遺産の持ち主(亡くなった人、この人の財産を相続することになる)のことを「被相続人といい、遺産を相続する人のことを「相続人と言います。
例えば、父親が亡くなって、その子どもが相続することになった場合、父親が被相続人、子どもが相続人となります。
以下の記述においては、3人の子どもを持つ父親が亡くなった想定で説明をしています。

生まれた順番は相続に影響しない

相続においては、子どもの生まれた順番は相続の割合(金額)に影響しません(民法900条4号)。
つまり、長男、次男、三男という兄弟であったとしても、長男の相続分が次男、三男よりも多くなることはありません(注)。

(注)民法上、相続分は同じ(等しい割合)になりますが、遺言書遺言)(参照:遺言書には3つの種類」を作成することによって、兄弟の相続分を任意の割合にすることが可能です。たとえば遺産が1,000万円あったとすると、三男の相続分をもっとも多い600万円に、長男を400万円、次男を200万円にするなど、相続分を変更することができます。

戦前は家督相続

ただし、戦前は家督相続が行われていたため、三人の子どもを持つ父親が亡くなったときにはそのうちの一人(たいていは長男)が遺産のすべてを相続することになっていました。

したがって、自分の祖父あるいは父親がその親を相続するときには家督相続だったために、その話を聞いた(もしくは実際に家督相続をした)自分も家督相続をするつもりになっている人もいるかもしれません。

しかし、戦後の民法改正によって家督相続は廃止されましたので、子どもたちは等しい割合で相続することになりました。

遺産を一人に相続させたいときは

もしかしたら、遺産を子どもたちのうちの一人に相続させたいと考える人もいるかもしれません。

相続人が複数いる場合は、相続人同士での話し合い(遺産分割協議、民法907条)によって誰がどれだけ相続するかを決めることができますから、一人の子どもがすべてを相続するということも可能です(参照:相続財産の分け方)。

民法
(遺産の分割の協議又は審判)
第907条第1項
 共同相続人は、次条第一項の規定により被相続人が遺言で禁じた場合又は同条第二項の規定により分割をしない旨の契約をした場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。

出典:e-Gov法令検索 民法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089)

ただし、遺産分割協議では被相続人の意向(子どもの一人に遺産をすべて相続させたい)が反映されるとは限りません
被相続人の希望とは反対に、遺産を相続させたい子どもが一切の遺産を相続できなくなる可能性もあります。

そこで、確実に遺産を一人に独占させたい場合は、遺言書を作成する必要があります(民法967条、参照:遺言書には3つの種類)。
遺言書は被相続人の希望どおりの内容で作成することができます

民法
(普通の方式による遺言の種類)
第967条
 遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってしなければならない。ただし、特別の方式によることを許す場合は、この限りでない。

出典:e-Gov法令検索 民法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089)

家督相続はなく相続は平等に行われる

家督相続がなくなった現在においても「家を継ぐ」という表現をすることがあります。
しかし、当事者にとっては家を継ぐつもりがあっても、法律上は相続するのは財産(遺産)だけであって「家」は相続しません(そもそも「家」は存在しません)。
あくまでも遺産相続は平等に行われます。

法定相続分に従った均分相続ではなく、子ども(遺族)ごとの相続分を分けたい場合は、遺言書を作成するか、もしくは子どもたち自身の話し合いに任せることになります。

相続に関するご相談は

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