同性カップルの「相続」について考えます。
結論から言うと、同性カップルはパートナーの相続人になれず、パートナーの遺産を相続することはできません。
相続人になれるのは、被相続人(亡くなった人、遺産の持ち主)の特定の範囲の親族(家族)に限られているのです(民法886条以下、参照:相続人と相続分)。
しかし、相続人にはなれませんが、相続以外の方法で遺産を残すことは可能です。
同性パートナーに遺産を遺す方法
そもそも同性カップルは結婚できませんが(参照:同性カップルの「結婚」)、結婚類似の制度として同性カップルに対して「パートナーシップ制度」を用意している自治体(参照:福岡市パートナーシップ宣誓制度)はありますが、パートナーシップ制度を利用してパートナーとなったカップルであってもお互いの相続人になれるわけではありません。
しかし、相続人になれなくてもパートナーに遺産を遺す方法があります。
その方法とは、遺贈することです。
遺言書で遺贈をする
同性カップルがパートナーに遺産を遺す方法としては、遺贈の利用が考えられます(参照:遺言書に記載すること・できること)。
遺贈とは、特定の個人や団体に対して、自分の死後に遺産を譲ることを言います。
遺贈をするには「遺言書(遺言)」を作成して、パートナーに遺贈する旨を記述する必要があります。
遺贈では、自分の財産すべてを遺贈することも、遺産の一部だけを遺贈することもできます(民法964条)。
民法
出典:e-Gov法令検索 民法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089)
(包括遺贈及び特定遺贈)
第964条
遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。
なお、遺言書で遺贈をする際には、「遺言執行者(民法1006条)」を指定しておきます。
民法
出典:e-Gov法令検索 民法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089)
(遺言執行者の指定)
第1006条第1項
遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。
遺言書で遺言執行者を指定しないと、被相続人に相続人が存在する場合は、その人が遺言の記載内容を実現することになりますが、もし相続人が存在しない場合は家庭裁判所が選任した遺言執行者が遺言の内容を実現することになります(民法1010条)。
民法
出典:e-Gov法令検索 民法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089)
(遺言執行者の選任)
第1010条
遺言執行者がないとき、又はなくなったときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求によって、これを選任することができる。
パートナーを遺言執行者に指定しておくと、パートナーが遺言書の記載内容を実現することになりますから、遺贈を確実に実現することが可能になります。
遺言書の活用を
同性パートナーへの「相続」を希望する人は、ぜひ遺言書の活用を考えてください(参照:遺言書には3つの種類)。
とくに、自分名義の住宅に同居している場合は、遺言書で遺贈をしないとパートナーは自分の死後に住居を追い出される事態に陥ります。
遺言書は二人とも作成する
なお、同性カップルが遺言書を作成する場合は、カップル二人がそれぞれ自分の遺言書を作成するようにします。
その際、一人ずつ別々の遺言書を作成しなければならず、二人で一つの遺言書を作成してはいけません(共同遺言の禁止、民法975条)。
共同名義の遺言書を作成すると、その遺言書は無効になってしまいます。
民法
出典:e-Gov法令検索 民法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089)
(共同遺言の禁止)
第975条
遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない。
もし、どうしても二人の絆の証を遺したいということであれば、遺言書ではなくエンディングノートを作成しましょう(参照:エンディングノートは終活の第一歩)。
エンディングノートは法的な効力を持たない代わりに、自由に内容を記載することができます。
二人で一つのエンディングノートを作成することも可能です。
同性カップルほど準備が大事
同性カップルにとっても、パートナーは大切な家族でしょう。
むしろ、自分が亡き後に残された「家族」の生活が心配なのは、同性カップルのほうが大きいかもしれません。
遺せるものは遺したい、そう考えるのは自然です。
パートナーに確実に遺産を遺すため、しっかりとした準備を元気なうちから行っておく意味が大きいと言えます。
確実に遺産を渡すためには、遺言書の作成が重要になってきます。
相続に関するご相談は
どうすればパートナーに遺産を遺せるのか、どういう遺言書(遺言)を作ればいいのか、どうすれば遺贈ができるのか迷ったときは荒江行政書士事務所にご相談ください。
相談者の家族関係や財産状況など、事情に応じたアドバイスをいたします。
最善の相続を実現するために、お気軽に連絡してください。
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