遺言書に葬儀のことを書いていい?書いてもいいが別の方法を選択すべき

自分の死後のことを頼むために「遺言書遺言)」を作成するということで、遺言書に自分の葬儀(お葬式)についての希望を記載する例もあるようです。
葬儀の希望については、遺言書とは別の形で家族(遺族)に伝えるべきです。
葬儀について遺言書に記載していいかどうかと問われれば記載してもいいと答えますが、記載すべきかどうかと問われるなら記載すべきではないと答えます。

遺言書に記載すること

遺言書に記載していいことは法律で定められています(参照:遺言書に記載すること・できること)。
遺言書に記載する内容のことを「遺言事項」と呼び、基本的には財産に関する事項が当てはまります。

財産に関する事項

  • 相続分の指定 : 民法902条
  • 相続人の廃除 : 民法893条
  • 相続人の廃除の取り消し : 民法894条
  • 遺産分割方法の指定・遺産分割の禁止 : 民法908条
  • 特別受益の持ち戻しの免除 : 民法903条3項
  • 共同相続人間の担保責任の定め : 民法914条
  • 遺贈 : 民法964条
  • 配偶者居住権の遺贈 : 民法1028条
  • 信託 : 信託法3条2号
  • 生命保険金の受取人の変更 : 保険法44条1項
  • 一般財団法人の設立 : 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律152条2項

それ以外の事項

  • 祭祀主催者の指定 : 民法897条
  • 遺言執行者の指定・指定の委託 : 民法1006条
  • 認知 : 民法781条
  • 未成年後見人の指定 : 民法839条
  • 未成年後見監督人の指定 : 民法848条

など

葬儀に関する事項は遺言事項ではない

葬儀に関する事項というのは、「遺言事項」に含まれていません
そのため、遺言書に記載しても法的な効果はなく、相続人(遺族)は遺言書に記載された故人の葬儀の希望に従う必要はありません(注)。
つまり、葬儀の宗派の選択、葬儀の規模、参列者の数などの希望を詳細に記載したとしてもその希望が実現する保証はありません。

(注)葬儀について記載しても遺言書が無効になるわけではありません

遺言書の開封は葬儀が終わってから

相続人(家族・遺族)は故人の希望に従う意思を持っていたとしても、別の問題があります。

遺言書を開封するのは、葬送に関する一連の儀式が終わって遺族が落ち着いてからになるということです。
一般的には、遺言書の開封は四十九日の法要が終わってからというのが多いようです。

お気づきのとおり、四十九日が終わってから遺言書を開封したのでは、葬儀の希望を実現するには手遅れです。
たとえ遺族が故人の希望どおりの葬儀を実現したいと考えても、「時すでに遅し」ということになるのです。
もし、遺族が故人の希望とは異なる葬送方法を選択してしまった場合、のちのちまで後悔を引きずることになってしまいます。
したがって、遺言書には葬儀に関する事項を記載すべきではない、という結論になります。

葬儀の希望は遺言書とは別の形で伝える

葬儀の希望がある場合、確実に実現してもらうためには、遺言書以外の方法で家族(遺族)に伝えるようにします。
日ごろから家族間で意思疎通を図る中で、自分が死んだらどのような葬送方法を選択すべきかを伝えておく、あるいはエンディングノートのような形でメッセージを残しておきます(参照:エンディングノートは終活の第一歩)。
ただし、エンディングノートのようなメモを残して家族に希望を伝える場合は、自分が死んだらすぐにメモを確認するように家族に伝えておきます。
葬儀が終わってから確認してしまっては、遺言書の場合と同じ問題が生じてしまいます。

日ごろからのコミュケーションが大事

したがって、結論としては、希望するお葬式の形がある方は日ごろから家族とコミュニケーションを取り、折に触れて葬儀に関する自分の希望を伝えておくべきということになります。
連絡してほしい知人、友人がいる場合は、そのリストも作成して家族に伝えておきましょう。

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