相続財産の分け方には3つの方法(参照:相続財産の分け方)があります。
3つの方法とは、現物分割、換価分割、代償分割の3つです。
遺言書(遺言)を作成するとき、もしくは遺産分割の話し合い(遺産分割協議)をするときは、相続人全員が参加して遺産をどのように分割するのかを決めなければいけません。
どの分割方法を選択するかは自由ですが、状況に応じた適切な分割方法があります。
ここでは、換価分割について説明します。
換価分割
換価分割というのは、相続財産(遺産)を実際に相続する前に換価(現金化)してから、各相続人に分割することです。
例えば、相続財産が自宅の土地・建物(不動産)だけしかないなど、そのままの状態では分割できない場合に選ばれる遺産分割方法で、相続人の数よりも、相続財産の種類・数が少ない場合に適した方法です。
また、換価(現金化)することによって、平等な遺産分割を可能にする方法でもあります。
具体的なケース
具体的なケースを想定して、換価分割について説明します。
次のような4人家族だとして、夫(父親)が遺産を遺して亡くなったとします。
なお、亡くなって遺産を遺す人を被相続人、遺産を相続する人を相続人と言います(民法890、887、889条、参照:相続人と相続分)。
(配偶者の相続権)
出典:e-Gov法令検索 民法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089)
第890条
被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第八百八十七条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。
(子及びその代襲者等の相続権)
出典:e-Gov法令検索 民法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089)
第887条
第1項 被相続人の子は、相続人となる。
(直系尊属及び兄弟姉妹の相続権)
出典:e-Gov法令検索 民法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089)
第889条
次に掲げる者は、第八百八十七条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。
一 被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。
二 被相続人の兄弟姉妹
家族関係
- 被相続人:夫(父親)
- 相続人 :妻(母親)
- 相続人 :長男
- 相続人 :長女
相続財産
| 遺産 | 金額 |
|---|---|
| 自宅の土地・建物 | 4,000万円相当 |
具体的な相続
自宅の土地・建物以外の相続財産がないとして、これを妻(母親)、長男、長女の3人で法定相続分(民法900条、参照:相続人と相続分)で遺産相続するために、換価したとします。
(法定相続分)
出典:e-Gov法令検索 民法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089)
第900条
同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
一 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
二 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。
三 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。
四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。
| 相続人 | 法定相続分 | 金額(万円) |
|---|---|---|
| 妻(母親) | 2分の1 | 2000 |
| 長男 | 4分の1 | 1000 |
| 長女 | 4分の1 | 1000 |
計算上は表のように分割することになります。
不動産を現実に分割することはできませんから、不動産を換価(現金化)することによって、法定相続分に応じた分割が可能となります。
すなわち、表の金額の枠で示したとおりの金額をそれぞれの相続人が相続することができるのです。
今回の例では、相続財産が不動産だけのケースを想定しましたが、不動産以外の財産であっても換価して分割することが可能です。
割合(相続分)が決まっているだけでは分割しづらい遺産も、現金にすれば容易に分割することができるようになります。
遺言書か遺産分割協議で決める
換価分割をするかどうかは、当事者が自由に決めることができます。
被相続人(今回の例では夫(父親))が遺言書(民法967条以下、参照:遺言書には3つの種類)で指定してもいいし、相続人同士の話し合い(遺産分割協議、民法907条、参照:遺産の分け方は相続人全員の話し合いで決める)によって換価分割することを決めることもできます。
遺産相続の方法としての換価分割は、遺産を現金化して相続する方法なので、相続人同士の不平等をなくすことができます。
しかし、換価分割をするには遺産を売却するなどして現金化する手間がかかるのも事実です。
また、遺産が当初の見込みどおりの金額で売却できるとは限りません。
したがって、換価すべきかどうかは遺産の状況によって変わってくると言えるでしょう。
相続に関するご相談は
どんな相続財産の分割方法を選択すべきかは、各自の相続財産、および相続人の状況によって異なります。
どういう遺言書(遺言)を作ればいいのか、どういう遺産分割協議をすればいいのか迷ったときは荒江行政書士事務所にご相談ください。
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