離婚は、当事者(夫婦)が同意すれば、離婚届を役所に提出するという簡単な手続きだけでできてしまいます。
夫婦で同意できなければ、最終的には裁判で離婚することになります(参照:離婚するための手続きは3種類)。
実際の離婚のほとんどは、役所への離婚届の提出で行われています。
手続き自体は簡単にできてしまいますが、実際には離婚届を出す前に決めておかないといけないことがたくさんあります。
そして、きちんと決めるべきことを決めておかないと、離婚後に問題を引きずることになってしまいます。
話し合いで決めるべきこと
夫婦が離婚に関する話し合いをした結果、同意して離婚することを協議離婚(民法763条)といいます。
(協議上の離婚)
民法第763条
夫婦は、その協議で、離婚をすることができる。
では、何を話し合う(協議する)かというと、大きく分けると2つの事項になります。
- お金のこと
- 子どものこと
子どものいない夫婦の場合、協議すべき内容は、お金のことに限られます。
なお、ここでいう子どもというのは、未成年の子どものことです。
子どもがいる夫婦であっても、その子どもが成人している場合は、離婚時に協議すべき内容には含まれません。
お金のこと
協議離婚では、子どもの有無にかかわらず、お金に関することを協議して決めなければいけません。
協議すべき内容は、
- 財産分与
- 養育費
- 慰謝料
の3つに分類することができます。
財産分与
財産分与というのは、夫婦の財産を何をどのくらいの割合で分割するかを決めることです。
現金や銀行の預金はもちろん、自宅などの不動産も分与の対象となります。
場合によっては、自宅の売却が必要になるケースもあり得ます。
なお、離婚時の財産分与の対象となるのは、結婚後に蓄えた財産に限られ、夫婦のそれぞれが結婚前から所有している財産は、財産分与の対象とはなりません。
また、相続に関しては、配偶者が結婚後の相続によって取得した財産も財産分与の対象とはなりません。
したがって、先祖代々の土地を相続したとしても、離婚時にその土地を手放す必要はありません。
逆の見方をすると、配偶者が相続した遺産は、離婚をしても一円も手に入りません。
養育費
もし夫婦に未成年の子どもがいる場合、養育費についての取り決めも必要になります。
いくら支払うのか、いつまで支払うのか、などを協議します。
養育費の支払い方法としては、毎月支払う方法や一括で支払う方法など、当事者の状況に応じて定めます。
なお、定期的に支払う方法を選んだ場合、通常は子どもが成人するまで支払うことになります。
なお、通常は、子どもの親権者にならず、子どもと離れて暮らすことになった側が支払います(注)。
(注)親権者として子どもを引き取った側に養育費の支払い義務がなくなるというものではなく、同居している以上、子どもの養育費を負担します。
慰謝料
「離婚といえば慰謝料」というくらい慰謝料については知っている人も多いと思いますが、慰謝料については必ず協議しなければいけないものではなく、夫婦の一方に離婚原因がある場合に協議が必要になるものです。
慰謝料は、不倫が離婚の原因となるような場合に、不倫した側が他方に支払う必要が生じるものです。
なお、不倫の慰謝料に関しては、不倫相手に対しても請求できます(注)。
(注)不倫の慰謝料は、裁判での相場は、数十万円から最大でも300万円程となっています。
おそらく、期待している金額はもらえません。
なお、慰謝料として特別に協議しなくても、財産分与の協議で離婚に責任のある側の分与額を減らす形で、慰謝料を支払うのと同じ結果を実現することもできます。
子どものこと
子どものことに関して離婚の協議で決めるべきことは、どちらが子どもの親権を持つかということです(民法767条)
(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
民法第767条第1項
父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
親権者(監護権者)をどちらかを決めたら、親権を持たないことになった側(子どもと離れて暮らすことになる側)と子どもの面会について協議します。
例えば、月何回会う、週末は一緒に過ごす、など協議して決めておきます。
日本では、親権者となった側が親権を持たない側に子どもを会わせないことも多く見られるようですが、離婚後の養育費の円滑な支払いのためにも、面会についてきっちりと協議して取り決めをしておきます。
離れて暮らすことになった側が会えない子どもに対して愛情を薄れさせ、養育費の支払いを怠るようになり、最終的には支払わなくなることがよくあります。
離婚するのは自分ですが、養育費が必要なのは子どもだということを忘れてはいけません。
協議したことは契約書として残しておく
離婚のための協議で取り決めたことは、今後のために「契約書」として残しておきましょう。
せっかく協議しても、その内容が実行されなければ意味がありません。
「離婚協議書」というようなタイトルで、協議した内容を記載します。
同じものを2通作成して、その両方に署名をして、夫婦それぞれが1通ずつ保管しましょう。
念のために証人に立ち会ってもらって、証人にも署名を入れてもらっても構いません。
これでも法的には有効な契約書であって、後々裁判で争うようなことになっても証拠として通用しますが、行政書士のような法律の専門家に依頼して協議離婚所を作成してもらうと確実です。
さらに念のために離婚協議書を公正証書として作成するのもいいでしょう(注)。
(注)公正証書の作成費用が掛かります。
離婚届の提出と離婚協議書の作成とはどちらを先にすべきか
離婚届の提出と離婚協議書の作成のどちらを先にすべきかですが、どちらが先でも構いません。
つまり、離婚してから協議をしても、協議をしてから離婚をしても法的な違いはありません。
ただし、協議の前に離婚届を提出してしまうと、当事者の一方が離婚後の協議に応じてくれなくなる恐れがあり得ます。
そのため、先に協議を成立させてから離婚届を提出するといいでしょう。
離婚する当事者同士の話し合いは難しい
ただし、「離婚するなら話し合い(協議)をしていろいろと取り決めをしておきましょう」といわれても、離婚を考える夫婦が話し合いをまとめることには非常な困難が伴うことが予想されます。
理想を言えば、まだまだ話し合いができる段階での離婚を検討すべきということになります。
「顔を合わせることすら困難」という状況に至ってからの話し合いは現実的には不可能でしょう。
その際は、夫婦の間に第三者(とくに法律専門職)に入ってもらうことで、協議を円滑に進めることが可能になるかもしれません。
話し合いをまとめる秘訣は冷静さを保つことにあります。
直接顔を合わせる相手を第三者にすることで、冷静さを保ったまま協議を進めることができるでしょう。

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