有期雇用では雇用期間がありますが、期間が満了する前に仕事を辞めたいと考えることもあるでしょう。
その場合、気になるのは「いつ退職できるのか」でしょう。
そもそも、雇用期間には有期雇用と無期雇用があります。
有期雇用というのは、契約期間が限られていて、定められた期間が終了すると同時に雇用契約が解消されるものです。
無期雇用は契約期間が限られておらず、労使いずれかから契約を終了させるまで継続して雇用されるものです。
契約社員などが有期雇用で、正社員が無期雇用となっています。
例えば、1年の雇用期間が定められた契約社員の人は、会社に就職してから1年後に会社を退職することになります。
正社員の人は契約期間が定められていないので、1年後も契約期間を意識することなく会社で働き続けることになります。
無期雇用の場合は、一方的な意思表示のみでいつでも会社を退職することができます(参照:退職はいつでもできる?)。
しかし、有期雇用の場合は、一方的な意思表示でいつでも会社を退職するというわけにはいきません。
有期雇用でも退職できる
ただし、有期雇用(期間の定めのある労働契約)でも、やむを得ない事由があるときは退職をすることができます(民法628条)。
民法
(やむを得ない事由による雇用の解除)
第628条
当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。
出典:e-Gov法令検索 民法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089)
なお、有期雇用であっても、1年以上の契約期間を定めた場合、1年を経過したときはいつでも退職することができます(労働基準法137条)。
労働基準法
第137条
期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が一年を超えるものに限る。)を締結した労働者(第十四条第一項各号に規定する労働者を除く。)は、労働基準法の一部を改正する法律(平成十五年法律第百四号)附則第三条に規定する措置が講じられるまでの間、民法第六百二十八条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から一年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。
出典:e-Gov法令検索 労働基準法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000049_20230401_430AC0000000071)
なお、会社によっては、有期雇用の期間中であっても退職の申し出を「退職予定日の1か月前以上に申し出ることで退職することができる」などと就業規則等で定めていることがあるので、その定めに従って退職を申し出れば、雇用期間の中途であっても退職することができます。
民法628条(やむを得ない事由による雇用の解除)の制限は解雇規制
では、退職を可能にする「やむを得ない事由」とは何でしょうか。
そもそも、民法628条が「やむを得ない事由がなければ契約を解除できない」と定めているのは、会社側による解雇を規制する意味合いを持っています。
つまり、従業員側の退職を規制することが目的というより、契約期間中は雇用を守ろうという目的を持った制度ということになります。
したがって、従業員(労働者)の側からの退職(契約の解除)の申出は、かなり広く認められることになります。
たとえば、
- 心身の不調
- 会社による賃金・残業代等の不払い
- 家族の介護などの家庭の事情
などの事由があれば、退職が認められることになります。
雇用期間の途中での退職を会社に申し出たら損害賠償の請求をちらつかされる、ということもあるかもしれませんが、実際に裁判で会社側の損害賠償請求が認められることはほとんどありません(認められることもあります)。
期間の定めは3年まで
なお、労働契約で定められる有期雇用の期間は、3年までと上限が決まっています(労働基準法14条)。
労働基準法
(契約期間等)
第14条第1項
労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、三年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあつては、五年)を超える期間について締結してはならない。
一 専門的な知識、技術又は経験(以下この号及び第四十一条の二第一項第一号において「専門的知識等」という。)であつて高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)との間に締結される労働契約
二 満六十歳以上の労働者との間に締結される労働契約(前号に掲げる労働契約を除く。)
出典:e-Gov法令検索 労働基準法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000049_20230401_430AC0000000071)
したがって、退職を考えている人にとっては、定められた契約期間(最大で3年間)だけ我慢すればいいという考え方もできます。
無期雇用の退職
最後に、無期雇用の退職についても少しふれておきます。
有期雇用と違って、無期雇用(期間の定めのない労働契約)の場合はいつでも退職の申し出ができます(民法627条)(参照:退職の流れをかんたんにおさらいしましょう)。
民法
(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
第627条第1項
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
出典:e-Gov法令検索 民法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089)
会社によっては、就業規則等で、退職の申出を「退職予定日の1ヶ月以上前」と定めていることもあります。
円満な退職を目指すなら、会社の規定に従うほうが良いですが、法律上は退職予定日の2週間前に申し出れば退職することができます。
退職に関するご相談は
有期雇用で雇われた人であっても、契約期間が残っているから退職できない、と無理に勤務を継続する必要はありません。
ほとんどのケースにおいて、期間の途中であっても退職することが可能です。
ただし、
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- 退職を言い出す気力がない
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