自分の最期の意思を家族に伝えるものとしては「遺書」や「遺言書」という書類があります。
「遺書」と「遺言書」は言葉としては似ています。
日常的にはどちらも同じ意味で使われることが多いのですが、法律としては両者は全く違うものとなります。
言葉としてはどちらで呼んでもかまいません。
しかし、中身に関しては注意をしなければいけません。
「遺書」と「遺言書」には以下のような違いがあります。
- 遺書は法的な効力を持たない代わりに、自由に内容を書いていい
- 遺言は法的な効力を持っている代わりに、形式が厳密に定められている
遺産相続の場面で重要になるのは「遺言書)」のほうです。
「遺書」は家族にとっては、故人の最期のメッセージとして非常に重要な意味を持ちますが、相続の場面で求められることはありません。
ただし、遺族(相続人)が遺書に書かれている内容を尊重して遺産分割協議を行うことは可能です(参照:遺産の分け方は相続人全員の話し合いで決める)。
なお、「遺言書」と書きましたが、正式には「遺言(いごん)」と呼びます(民法960条)。
民法
(遺言の方式)
第960条
遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。
出典:e-Gov法令検索 民法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089)
遺書
家族や友人、知人へのメッセージを遺すのが遺書。
記載する内容は何を書いてもかまいませんが、法的な効力は持ちません。
一般的には、家族への感謝や謝罪、今後の希望などを書くことが多く、なかには、自分の葬儀での朗読を希望する人もいるようです。
刊行された遺書としては、太平洋戦争の戦没者の遺書をまとめた『きけ わだつみのこえ』が有名でしょうか。
具体的には、
- 過去の思い出(楽しかったこと、苦労したこと)
- 家族への思い
- 葬儀や埋葬方法の希望
などといったことを書き記すことになります。
そのほか、遺書に財産(遺産)に関する希望を記載してもいいのですが、「遺言(遺言書)」としての要件を満たしていないと、遺書に記載した希望が実現されるかどうかは遺族(家族)の意向次第となります。
遺言(遺言書)
遺言は、遺産相続の方法などについて記載するもの。
遺書と違い、厳密な形式が定められており、法律(民法967条以下)に従って作成しなければ法的な効力を持たない(無効になる)可能性があり、作成には慎重な配慮が必要とされます(参照:遺言書には3つの種類)。
形式として定められているのは、
- 全文を自筆で手書き
- 署名捺印
- 封をする
などの要件が求められており、民法で定められた要件を満たしていないと法的な効力を持たない(無効になる)遺言となってしまうので注意が必要です。
書き方としては、たとえば
- 妻に自宅を相続させる
- 長男に預金を相続させる
- 次男に自動車を相続させる
などといった形で記載することになります。
遺言には、お金に関すること(遺産の分配方法)を記載して、遺書のような家族へのメッセージは記載しません。
ただし、「付言事項」として、遺言の末尾に家族へのメッセージを書き加えることもできます。
付言事項は書いても書かなくても、遺言の効力には影響はありません。
したがって、遺産については遺言で、家族へのメッセージは遺書に残す、という使い分けをすることも可能です。
相談時は遺書でも遺言でも呼び方はどちらでも
なお、遺言は、一般的には「ゆいごん」と読むことが多いのですが、遺産相続に関する書類としての「遺言」は「いごん」と読みます。
日常的には遺言と遺書を区別することはないでしょう。
遺言のつもりで「遺書」と言ったり、反対に遺書のつもりで「遺言」と言ったりします。
法律家は、遺書や遺言(いごん・ゆいごん)を使い分けていますが、お客様が行政書士など法律家に相談するときは、「いごん」「ゆいごん」「遺書」のどの言葉を使っても構いません。
重要なのは中身なので、お客様から「遺書を作ってほしい」と言われれば、きちんと「遺言」を作成します。
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