相続土地国庫帰属制度の開始:相続した土地を手放すことができる制度

相続土地国庫帰属制度(参照:法務省「相続土地国庫帰属制度について」」が始まりました(参照:相続土地国庫帰属法(相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律))。
相続土地国庫帰属制度は、相続した土地を国が引き取ってくれる制度です(相続土地国庫帰属法1条)。
制度を利用して国に土地を引き取ってもらう(国庫に帰属させる)には申請が必要です。

相続土地国庫帰属法
(目的)
第一条
 この法律は、社会経済情勢の変化に伴い所有者不明土地(相当な努力を払ってもなおその所有者の全部又は一部を確知することができない土地をいう。)が増加していることに鑑み、相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)(以下「相続等」という。)により土地の所有権又は共有持分を取得した者等がその土地の所有権を国庫に帰属させることができる制度を創設し、もって所有者不明土地の発生の抑制を図ることを目的とする。
出典:e-Gov法令検索 相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=503AC0000000025_20230427_000000000000000)

制度についてのパンフレットはこちらからダウンロードできます。
パンフレットのダウンロード:相続土地国庫帰属制度のご案内(第2版)

負担から解放される

これまでは、相続人(遺産を相続する人)が被相続人(遺産のもともとの持ち主、この人が亡くなることで遺産相続が開始される)の遺産の土地を相続した場合、その土地を自分の財産として管理する必要がありました(参照:相続方法は3種類)。
しかし、遺産の土地を利用する予定がない、土地が居住地から遠すぎて管理することができないなどの理由で手放したいという相続人にとっては、遺産の土地が負担になっていました。
それが、相続土地国庫帰属制度の開始によって、相続した土地を国庫に帰属させることで、管理の負担から解放されることができるようになります。

相続土地国庫帰属制度を利用できる人

相続土地国庫帰属制度を利用できる人は、土地を相続した人になります。
相続方法としては、

  • 一人の相続人が単独で相続した場合(単独所有)
  • 複数の相続人が一つの土地を相続した場合(共有)

のいずれの場合も制度を利用することが可能です。
制度を利用するには、法務局に対して申請することになります。

国に引き取ってもらえない場合

ただし、相続土地国庫帰属制度はどんな場合でも利用できるわけではありません(相続土地国庫帰属法2条)。
土地の状況によっては引き取ってもらえない場合があります

申請できない場合

申請するには、国庫に帰属させたい土地を更地にしていなければいけません。
また、権利関係が複雑なケースも制度の利用ができません。
以下のような場合です。

  • 建物がある土地
  • 担保権や使用収益権が設定されている土地
  • 他人の利用が予定されている土地
  • 土壌汚染されている土地
  • 境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地

(承認申請)
第2条第1項
 土地の所有者(相続等によりその土地の所有権の全部又は一部を取得した者に限る。)は、法務大臣に対し、その土地の所有権を国庫に帰属させることについての承認を申請することができる。
第3項
 承認申請は、その土地が次の各号のいずれかに該当するものであるときは、することができない。
一 建物の存する土地
二 担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地
三 通路その他の他人による使用が予定される土地として政令で定めるものが含まれる土地
四 土壌汚染対策法(平成十四年法律第五十三号)第二条第一項に規定する特定有害物質(法務省令で定める基準を超えるものに限る。)により汚染されている土地
五 境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地
出典:e-Gov法令検索 相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=503AC0000000025_20230427_000000000000000)

承認されない場合

申請できたとしても、土地を引き取ってもらえない場合もあります(相続土地国庫帰属法5条)。
以下のような場合です。

  • 一定の勾配・高さの崖があって、管理に過分な費用・労力がかかる土地
  • 土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地
  • 土地の管理・処分のために、除去しなければいけない有体物が地下にある土地
  • 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地
  • その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地

なお、「土地の管理・処分を阻害する有体物」とは放置車両や樹木などのこと、
地下にある「除去しなければいけない有体物」とは産業廃棄物や水道管などのこと、
「争訟」とは訴訟などのことです。

(承認)
第5条第1項
 法務大臣は、承認申請に係る土地が次の各号のいずれにも該当しないと認めるときは、その土地の所有権の国庫への帰属についての承認をしなければならない。
一 崖(勾配、高さその他の事項について政令で定める基準に該当するものに限る。)がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの
二 土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地
三 除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地
四 隣接する土地の所有者その他の者との争訟によらなければ通常の管理又は処分をすることができない土地として政令で定めるもの
五 前各号に掲げる土地のほか、通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地として政令で定めるもの
第2項
 前項の承認は、土地の一筆ごとに行うものとする。
出典:e-Gov法令検索 相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=503AC0000000025_20230427_000000000000000)

引き取ってもらえない場合一覧表

以上のことをまとめると以下のような表になります。
いずれかの条件の一つにでも該当すると、相続土地国庫帰属法を利用できません
つまり、土地を引き取ってもらえません

条件
申請できない建物がある土地
担保権や使用収益権が設定されている土地
他人の利用が予定されている土地
土壌汚染されている土地
境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地
条件
承認されえない一定の勾配・高さの崖があって、管理に過分な費用・労力がかかる土地
土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地
土地の管理・処分のために、除去しなければいけない有体物が地下にある土地
隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地
その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地

手数料・負担金

申請の際には手数料と負担金の費用負担が必要です。
手数料は14,000円となっています。
負担金は土地によって金額は異なりますが、10年分の管理費相当額となります。

新制度

相続土地国庫帰属制度は2023年4月27日に開始されたばかりです。

制度の概要は法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」を参照してください。

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