養子は誰を相続するの?養子には2種類の親がいる

養子というと、感覚的にはまだ一般的とは言えないかもしれません。
しかし、子どもがいる人が再婚するような場合では、再婚相手の子どもを養子にすることも行われています。
また、価値観の多様化によって、再婚に限らず、これからは当たり前にみられる親子関係となっていくかもしれません。
そうなると、養子が相続の場面に直面することも増えてきたり、あるいは、すでに誰かの養子になっているという人もいるかもしれません。

養子の親は?

そもそも、子どもは親が亡くなったときに相続人になります(親の遺産を相続します)。
その点で、養子縁組は新しく親子関係を作る制度ですから、最初に誰が養子の親になるのかを整理しましょう。

養子には2種類の親がいます。
すなわち、生みの親(血のつながりがある親)と法律上の親(養子縁組の結果、親になった人)の2種類の親です。
養子はこの2種類の親の両方で相続人になります。
以下、場合を分けてみていきましょう。

養子の親が亡くなった場合:実親と養親の両方を相続する

ある人が亡くなったとすると、その人の実子(血のつながりのある子)が相続するのはもちろんのこと、養子(法律上の子、血のつながりのない子)も相続します(参照:相続人と相続分)。

日常的な感覚では、実子と養子とでは違うという感覚が一般的かもしれませんが、実子と養子は法的には子どもとしてどちらも同じ立場になります(民法809条)。
実子と養子のどちらも、法的な親子関係が認められる子ども(民法772条)ということで、「嫡出子」と呼びます(参照:親子関係を生じさせるために認知が必要な人も)。

民法
(嫡出子の身分の取得)
第809条
 養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する。
出典:e-Gov法令検索 民法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089)

民法
(嫡出の推定)
第772条
第1項
 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
第2項
 婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。
出典:e-Gov法令検索 民法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089)

実際の相続の想定:養親が亡くなると

例えば、養親(養父母)に実子が一人、養子が一人いて、養父が亡くなったとすると、各人の相続分は、配偶者が2分の1、子どもが2分の1で、実子と養子は人数分で均等に分割されます。
子どもは、実子と養子一人ずつの全部で二人ですから、人数分(2等分、すなわち2分の1をさらに2分の1します)に分割します。
それを表にすると以下のようになります。

相続人相続分
養母(配偶者)2分の1
実子4分の1
養子4分の1

たとえば、養父の遺産が1,200万円とすると実際の相続分は以下のようになります。

  • 養母(配偶者):1,200万円x2分の1=600万円
  • 実子     :1,200万円x2分の1x2分の1=300万円
  • 養子     :1,200万円x2分の1x2分の1=300万円

実際の相続の想定:実親が亡くなると

続いて、養子の実親(血のつながりのある親、生みの親)の場合を見ていきましょう。
養子は実親が亡くなった場合も相続人になります

養子が養親の財産を相続するのは説明したとおりですが、養子の場合は実親が亡くなったときに、その財産(遺産)を相続することになります。
つまり、養子は実の親が亡くなったときと養親が亡くなったときの両方の場面で相続することになる点に注意が必要となります。
実際の相続の場面では、実親の相続を見落としがちです。

実親の相続を見落とすと

実親の相続を見落とすと、例えば被相続人(この人が亡くなって遺産相続が開始する、遺産を遺す人)が多額の借金を抱えて亡くなった場合、相続放棄(参照:相続方法は3種類)ができる期間(相続を知ったときから3ヶ月)を過ぎてから、自分が相続人となることが判明する(養子になったので実親の相続人になるとは思わなかった)ことがあります。

あるいは、複数の兄弟(姉妹)がいて、そのうちの一部の子だけが養子になった場合、養子に行かなかったほうの子どもが養子に行った兄弟(姉妹)が相続人になることに気づかず、連絡を忘れてしまうことがあります。

いずれにしても、養子に行った子どもが相続人にならないと思い込んでしまうと、後々面倒なことになります。
とくに、実親の相続が開始してから(亡くなってから)、養子と遺産相続の手続きをせずに養子が亡くなってしまうと、養子の相続人との遺産相続の手続きをすることになります。
そうすると、面識のない相手との遺産相続の話し合いが必要になってしまいます。

普通養子と特別養子

実は、ここまで説明してきた養子と相続の説明は「普通養子」と言われるものの説明です。
日本で実際に行われている養子縁組のほとんどは普通養子なので、ほとんどのケースの養子の相続ではここまでの説明で対応できます。
しかし、「特別養子」では、少し違った対応が求められます。

養子縁組

そもそも、養子という関係はどんな関係なのかを整理してみることにしましょう。
血のつながりのない者同士に親子関係を作ることを「養子縁組」と呼びます(民法792条以下)。
なお、血のつながりのことを「血縁関係」と呼び、血のつながった親子のことは「血縁関係にある」といったりします。
血縁関係のある親子のことを「実親子」と呼び、養子縁組によって親子関係になった親子のことを「養親子」と呼びます。
「実親子」は「じつしんし」、「養親子」は「ようしんし」と読みます。

普通養子

普通養子は、養子縁組を当事者同士(養親子関係になろうとする人、すなわち養子と養親になろうという人)の合意があって成立する関係です。
家庭裁判所に申し立てることで養子縁組が成立します。

養親になろうとする人は、養子となろうという人より年上である必要がありますが、結婚している必要はありません(民法793条)。
つまり、養親と養子の二人だけで成立します。

民法
(尊属又は年長者を養子とすることの禁止)
第793条
 尊属又は年長者は、これを養子とすることができない。
出典:e-Gov法令検索 民法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089)

養子縁組が成立すると、養親と養子の間に法律上の親子関係が成立しますが、養子と実の親の間の親子関係も残ったままとなり、二重の親子関係を持つことになります。
なお、養親子関係はいつでも終了させることが可能です。

特別養子

特別養子では、普通養子と違って、養子縁組が成立すると養子と実の親との法律上の親子関係はなくなってしまいます(民法817条の2以下)。

民法
(特別養子縁組の成立)
第817条の2第1項
 家庭裁判所は、次条から第八百十七条の七までに定める要件があるときは、養親となる者の請求により、実方の血族との親族関係が終了する縁組(以下この款において「特別養子縁組」という。)を成立させることができる。
出典:e-Gov法令検索 民法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089)

養親になるには結婚していなければならず、夫婦の年齢が20歳以上かつ、夫婦のいずれかが25歳以上でなければいけません。
養子とするには養子縁組をする前に6か月以上監護(同居して養育する)していて、かつ子どもの年齢が15歳未満である必要があります。
養子縁組をするには家庭裁判所に審判の請求をして行うことになります。

なお、特別養子縁組は普通養子の場合とは違い、基本的には養親と養子との親子関係を解消すること(離縁)はできません。
離縁の申し出は、養親からはすることができず、養子の側からだけすることができます(民法817条の10)。

民法
(特別養子縁組の離縁)
第817条の10
第1項
 次の各号のいずれにも該当する場合において、養子の利益のため特に必要があると認めるときは、家庭裁判所は、養子、実父母又は検察官の請求により、特別養子縁組の当事者を離縁させることができる。
第1号 養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由があること。
第2号 実父母が相当の監護をすることができること。
第2項
 離縁は、前項の規定による場合のほか、これをすることができない。
出典:e-Gov法令検索 民法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089)

特別養子縁組が成立すると、養子と実の親との親子関係が終了し、普通養子と違って、いずれかが亡くなったとしても相続することはません。
養親が亡くなったときは、普通養子と同様に、子どもの相続分は均等に分割されることになります。

親子関係に注意が必要

相続の場面で養親子関係を見落としてしまうと、あとから相続人同士がもめる原因となります。
遺産相続の話し合い(遺産分割協議)の場面に養子となった子が立ち会えないと、養子が遺産相続について知ってから遺産分割の話し合いをやり直すことになります(参照:遺産の分け方は相続人全員の話し合いで決める)。

ここでは、親が亡くなって子どもが相続するケースを想定しましたが、相続においては親が子どもを相続するケースもありますから、親と子のどちらが先に亡くなったとしても注意が必要です。
他の家庭の養子となった子ども(実子)がなくなると、実親はその子の相続人になることもあるのです。

遺産相続においては、自分や家族の見落としが起こりがちなので家族関係はよくよく確認しなければいけません。

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