相続人がいない人の相続はどうなる? 最終的には国のものになります

ある人が亡くなると、基本的には家族(遺族)が相続することになります(参照:相続方法は3種類)。
それでは、家族がいない場合はどうなるのでしょうか。

家族がいないという方(おひとりさま)も珍しくない今、家族がいない場合の相続がどうなるのか、見ていきましょう。

相続人がいない状態を相続人不存在という

たいていのケースの相続では、「被相続人(亡くなった人、財産を遺す人)」の家族が遺産を相続します(遺産を相続する人を「相続人」といいます)。

しかし、家族がいない場合は、相続人が存在しないことになります。
また、家族がいたとしても、必ず相続人になるというわけではありません。
相続人になることを拒否することも可能なのです(「相続放棄」という手続きが必要です、民法915条、938条、939条)。
この、相続人がいない状態を「相続人不存在(民法951条以下)」といいます。

民法
(相続の承認又は放棄をすべき期間)
第915条第1項
 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。

(相続の放棄の方式)
第938条
 相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。

(相続の放棄の効力)
第939条
 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。
出典:e-Gov法令検索 民法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089)

被相続人に家族がいない場合

被相続人に相続人がいない(相続人不存在、民法951条以下)というのは、相続人(法律で定められている相続人、ということで「法定相続人」と呼びます)である配偶者、子ども、兄弟(姉妹)が存在しない状況のことをいいます。

いわゆる「おひとりさま」の人の相続では法定相続人がいないため、被相続人の遺産は最終的には国のものになります(「国庫に入る」と表現することもあります)。
おひとりさまであっても、遺言書(参照:遺言書には3つの種類)を作成して、遺産を譲る人を指定すればその人に遺産を相続させることが可能です。

したがって、相続人がいないケースというのは、被相続人に家族がなく、かつ遺言書で法定相続人以外の人物を相続人に指定していない状況のことをいいます。

相続人不存在の流れ

相続人不存在の相続では最終的には被相続人の財産は国のものになりますが、そのための手続きは以下のような流れで行われます。

  1. 相続財産管理人の選任
  2. 債権者・受遺者への支払い
  3. 相続人捜索の公告
  4. 特別縁故者への分与

相続財産管理人の選任

まず、相続人がいない場合、被相続人の財産に関する利害関係人が家庭裁判所に相続財産管理人の選任を申し立てます(民法952条第1項)。
利害関係人というのは、被相続人に対してお金を貸している人、あとで説明する特別縁故者など、被相続人の財産を受け取る資格があると考えられる人のことです。

民法
(相続財産の管理人の選任)
第952条第1項
 前条の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の管理人を選任しなければならない。
出典:e-Gov法令検索 民法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089)

相続財産管理人が選任されると、家庭裁判所が被相続人の相続財産管理人が選任されたことを公告します。

民法
第952条第2項
 前項の規定により相続財産の管理人を選任したときは、家庭裁判所は、遅滞なくこれを公告しなければならない。
出典:e-Gov法令検索 民法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089)

債権者・受遺者への支払い

相続財産管理人の選任の公告から2か月後、被相続人の債権者や受遺者に対して、2ヶ月以上の期間(家庭裁判所が期間を定める)に被相続人に対する債権を持っている人は家庭裁判所に申し出ます(民法954条)。
債権者や受遺者が名乗り出ると、被相続人の財産から支払いが行われることになります。
この段階で財産がなくなってしまうと手続きは終了します。

民法
(相続財産の管理人の報告)
第954条
 相続財産の管理人は、相続債権者又は受遺者の請求があるときは、その請求をした者に相続財産の状況を報告しなければならない。
出典:e-Gov法令検索 民法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089)

なお、受遺者というのは、被相続人から遺産を譲り受けることになっている(遺贈を受ける)人のことで、相続人とは違います。

相続人捜索の公告

債権者や受遺者への支払いが終了してなお財産が残っている場合、6ヶ月以上の期間を定めて、その期間内に相続人に自分が相続人であると名乗り出るようにと公告します(民法958条)。
誰も相続人として名乗り出なければ、相続人の捜索は終了し、相続人不存在が確定し、次の手続きに移ります。

民法
(相続人の捜索の公告)
第958条
 前条第一項の期間の満了後、なお相続人のあることが明らかでないときは、家庭裁判所は、相続財産の管理人又は検察官の請求によって、相続人があるならば一定の期間内にその権利を主張すべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、六箇月を下ることができない。
出典:e-Gov法令検索 民法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089)

特別縁故者への分与

相続人不存在が確定してから、そこから3ヶ月以内に特別縁故者は家庭裁判所に相続財産分与の申し立てを行うことになります(民法958条の3)。

民法
(特別縁故者に対する相続財産の分与)
第958条の3第1項
 前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。
第2項
 前項の請求は、第九百五十八条の期間の満了後三箇月以内にしなければならない。
出典:e-Gov法令検索 民法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089)

特別縁故者というのは、次の要件のいずれかに当てはまる人のことです。

  • 被相続人と生計を同じくしていた者
  • 被相続人の療養看護に努めた者
  • その他被相続人と特別の縁故があった者

被相続人と生計を同じくしていた者というのは、いわゆる内縁関係にあった人のこと(内縁関係では法定相続人になりません)です。

被相続人の療養看護に努めた者というのは、いわゆる「長男の嫁」のことで、被相続人の子どもと結婚していたものの、被相続人本人より先に被相続人の子どもが亡くなっていても嫁が被相続人の療養看護(介護)を続けているようなケースがこれに当てはまります(嫁は法定相続人になりません)。

その他被相続人と特別の縁故があった者というのは、内縁や療養看護と同じくらい被相続人との関係の深い人であって、近所づきあい程度では認められず、生前の付き合いが薄ければ、死後の法要を執り行っているとしても特別縁故者としては認められません。

最終的には国のものになる

以上の手続きが終了して、なお被相続人の財産が残っている場合は、相続財産管理人が国庫に納めて手続きは完了です(民法959条)。
もし、自分の財産が国のものになるのが嫌だと考える人は、遺言書を作成して遺産を譲る相手を指定しましょう。

民法
(残余財産の国庫への帰属)
第959条
 前条の規定により処分されなかった相続財産は、国庫に帰属する。この場合においては、第九百五十六条第二項の規定を準用する。
出典:e-Gov法令検索 民法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089)

遺言書で遺産を譲る相手を指定しても、指定された人が財産の受け取りを拒否する可能性もあるため、生前に相手の意向を確認しておくといいでしょう。
また、遺産が自宅など不動産しかないような場合は断られる可能性が高いため、相続させる財産は現金化しておくと、断られずに受け取ってもらえる可能性が高くなります。

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