遺言書は作りなおせる:作成後に気が変わっても心配ありません

遺言書遺言)」は一度作成しても、あとから何度でも作り直すことが可能です。
作成後に気が変わった、資産状況が変化した、家族関係に変化があった、など、遺言書作成後の事情の変化に応じて、いくらでも内容を変更することができるのです。
したがって、「とりあえず」簡単な内容の遺言書を作成しておいて、あとから内容を充実させることができます。

基本的には遺言書の作成は手書きで行いますから、作り直しの必要がないほうが楽ではありますが、作成後の時間の経過によっては内容を変えたくなることもあるでしょう。
手間はかかりますが、納得できない遺言書をそのままにしておくよりも、必要に応じて作り直したほうが、心残りを失くせます。

ただし、遺言書の作成方式によって、遺言書の変更方法にも違いがあります。

遺言書の種類と撤回の可否

遺言書には3つの種類があります(参照:遺言書には3つの種類)。

  • 自筆証書遺言
  • 公正証書遺言
  • 秘密証書遺言

の3種類です。
自筆証書遺言は自分で作成する遺言書で、公正証書遺言と秘密証書遺言は公証役場で作成してもらう遺言書です。
作成した遺言書が、この3種類のうちどの方式で作成したとしても、あとから撤回(もしくは作り直し)することは共通しています。

なお、公正証書遺言と秘密証書遺言を撤回するには、公証役場で撤回の手続きをする必要があります(費用がかかります)。
自筆証書遺言の場合は、自分で書きなおすだけでいつでも撤回する(作り直す)ことが可能です。
以降の説明では、自筆証書遺言の撤回についての説明をしますが、考え方としては公正証書遺言、秘密証書遺言においても同じです。

遺言の撤回

遺言書を作成するには、法律で定められた方式に従う必要があります(民法967条、968条)。
同様に、遺言書を撤回するときも、法律で定められた方式に従います(民法1022条)。

民法
(普通の方式による遺言の種類)
第967条
 遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってしなければならない。ただし、特別の方式によることを許す場合は、この限りでない。
(自筆証書遺言)
第968条第1項
 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
(遺言の撤回)
第1022条
 遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。

出典:e-Gov法令検索 民法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089)

一度作成した遺言書の破棄

一度作成した遺言書(前の遺言、と呼びます)の内容を変更したいときには、あらためて新しい遺言書(後の遺言)を作ります(民法1023条)。
新しい遺言書を作成したら、前の遺言を破り捨てるなどして破棄します。

新しい遺言書を作ったあとに前の遺言が残っていても、有効な遺言書として認められますが、次に説明するとおり、前の遺言を破棄してしまったほうが残された遺族の混乱を回避することができます。

前の遺言と後の遺言が同時に存在する場合

前の遺言の内容を変更するために新しく遺言書を作成したとき、前の遺言の内容と新しい遺言書の内容を照らし合わせて内容に矛盾があるときには、新しい遺言書の内容が優先される仕組みになっています(民法1023条)。

民法
(前の遺言と後の遺言との抵触等)
第1023条第1項
 前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。

出典:e-Gov法令検索 民法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089)

例えば、相続人が子ども3人(長男・次男・三男)というケースで、最初に作成した遺言書(前の遺言)で次のような遺産分割の方法を定めたとします。
なお、ほかに相続人はおらず、財産についてもそれぞれ一つしかないケースを想定しています。

  • 長男自宅を相続させる
  • 次男銀行預金を相続させる
  • 三男に自動車を相続させる

新しい遺言書(後の遺言)で次のように内容を変更したとします。

  • 長男銀行預金を相続させる
  • 次男自宅を相続させる
  • 三男に自動車を相続させる

前の遺言と比べると後の遺言で、長男が相続するものが自宅から銀行預金、次男が銀行預金から自宅、へと変更されています。
両者の内容に抵触がありますから、後の遺言によって前の遺言が撤回され、後の遺言の内容のとおりに相続が行われることになります。

これだけなら問題は起きないのですが、遺言書を作成した本人が、三男に相続させる財産に変更がないからということで、後の遺言の記載から三男への相続に関する記載をしなかった場合、これは三男への相続に変更がないのか、三男には相続させないことにしたのか、遺言書の記載からでは判然としません。

今回の例では2通でしたが、書き直した遺言書の数が増えれば増えるほど、内容の照らし合わせの手間が増えると同時に、本人の希望とは違った解釈をされる可能性(危険性)が増えてしまいます
つまり、複数の遺言書が同時に存在すると、本人の希望どおりの相続が行われるかどうか分かりません。

したがって、一度作成した遺言書を撤回(内容を変更)するときには、古いほうの遺言書はその都度破棄するようにしましょう。
新しく作成する遺言書には、あらためて自分が希望する相続の内容を記載しなおします

破棄した後でも「撤回する」文言を入れる

ただし、何度も作成と撤回を繰り返していると、古い遺言書を破棄したかどうか分からなくなることがあります。
きちんと破棄してきたつもりでも、1通でも残っていると、これまでに説明してきたように遺族が遺言書の内容の抵触に悩むことになってしまいます。
したがって、きちんと古い遺言書をすべて破棄してきたと思っていても、念のため、新しく作成した遺言書には次のような「撤回する」旨の一文を書き込んでおきます。

本遺言より前の遺言をすべて撤回する。

このような一文を新しい遺言書に差し込めば、以前に作成していた遺言書はすべて撤回され、遺族が複数の遺言書に悩まされることはなくなります。
なお、遺言書の新旧の判断は遺言書に書き込まれた日付の先後で行います。

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