2021年度最低賃金の決定

7月14日、厚生労働相の諮問機関・中央最低賃金審議会の目安小委員会が、2021年度の最低賃金を全国平均で28円の引き上げを決定しました。

新しい最低賃金は、今年の10月に各都道府県ごとに決定されることになります。
現在の全国平均は、時給902円で、ここから28円引き上げられると、時給930円になるということです。
上げ幅としては、約3.1パーセントの上昇となります。

2020年度の最低賃金

今回の決定が実際の賃金額に反映されるのは10月以降、各都道府県の最低賃金額が決定されてからになります(最低賃金法14条1項)。
実際に新しく決定された最低賃金額以上の給与の支払いが必要になるのは発行日以降となります(多くの都道府県で10月1日が発行日とされています、最低賃金法14条2項)。

最低賃金法
(地域別最低賃金の公示及び発効)
第14条
第1項 厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、地域別最低賃金に関する決定をしたときは、厚生労働省令で定めるところにより、決定した事項を公示しなければならない。
第2項 第十条第一項の規定による地域別最低賃金の決定及び第十二条の規定による地域別最低賃金の改正の決定は、前項の規定による公示の日から起算して三十日を経過した日(公示の日から起算して三十日を経過した日後の日であつて当該決定において別に定める日があるときは、その日)から、同条の規定による地域別最低賃金の廃止の決定は、同項の規定による公示の日(公示の日後の日であつて当該決定において別に定める日があるときは、その日)から、その効力を生ずる。

出典:e-Gov法令検索 最低賃金法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=334AC0000000137_20220617_504AC0000000068)

厚生労働省のHP(地域別最低賃金の全国一覧)に掲示された2020年度の最低賃金は以下の表のようになっています。

都道府県名最低賃金
北海道861
青森793
岩手793
宮城825
秋田792
山形793
福島800
茨城851
栃木854
群馬837
埼玉928
千葉925
東京1013
神奈川1012
新潟831
富山849
石川833
福井830
山梨838
長野849
岐阜852
静岡885
愛知927
三重874
滋賀868
京都909
大阪964
兵庫900
奈良838
和歌山831
鳥取792
島根792
岡山834
広島871
山口829
徳島796
香川820
愛媛793
高知792
福岡842
佐賀792
長崎793
熊本793
大分792
宮崎793
鹿児島793
沖縄792
全国加重平均額902

ここから、約3.1パーセント上昇することになりそうです。

時給800円台が中心

表によると、現時点で最低賃金が1,000円を超えているのは、東京・神奈川の2都県のみとなっています。
900円台は、6府県。
800円台は、23県。
700円台は、16県。
最低賃金の中心は800円台となっています。
700円台にとどまっているのも16県もあり、特に九州・沖縄は800円台が福岡県のみとなっており、そのほかすべての県(7県)が700円台にとどまっています(全国的にみても、16県の約半数の7県が九州ということになります)。

しかし、今回の決定によって、最低賃金が約3.1パーセント上昇するなら、九州・沖縄はすべての県で800円台に収まることになりそうです。

最低賃金制度

経営団体は今回の上昇の決定に反発を示していますが、最低賃金は法律で定められた制度ですから、経営者も決められた最低賃金額に従わなければいけません(最低賃金法4条)。

最低賃金法
(最低賃金の効力)
第4条
第1項 使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない。
第2項 最低賃金の適用を受ける労働者と使用者との間の労働契約で最低賃金額に達しない賃金を定めるものは、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、最低賃金と同様の定をしたものとみなす。

出典:e-Gov法令検索 最低賃金法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=334AC0000000137_20220617_504AC0000000068)

ちなみに、最低賃金に違反すると、罰金が科されます(最低賃金法40条)。

最低賃金法
第40条
 第四条第一項の規定に違反した者(地域別最低賃金及び船員に適用される特定最低賃金に係るものに限る。)は、五十万円以下の罰金に処する。

出典:e-Gov法令検索 最低賃金法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=334AC0000000137_20220617_504AC0000000068)

最低賃金の計算法

最低賃金は時給で計算されています。
アルバイトやパートの場合、時給を示されて会社に雇われているので、計算するまでもなく、単純に自分の時給額と最低賃金額を比較するだけで済みます。
ただし、正社員(正規雇用)の場合、賃金が時給で表示されているケースはまれですから、自分の給料が最低賃金を満たしているのか別途計算しないといけません。

最低賃金の対象

最低賃金の対象となる賃金は、会社から支払われている給料すべてが含まれるのではなく、毎月支払われる賃金のうち、基本給と諸手当にとどまります
給料として支払われていても、以下の項目は対象とはなりません。

  • 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
  • 1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
  • 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
  • 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
  • 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
  • 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当

支給額全体では最低賃金を上回っているようでも、最低賃金の対象外の項目を除外すると、実際には最低賃金を下回っているかもしれません。
一度、きちんと自分の給料が最低賃金額を超えているかどうか確認してみましょう。

計算式

・時間給の場合
時間給≧最低賃金額(時間額)
・日給の場合
日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
・月給の場合
月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

(参照:厚生労働省:最低賃金のチェック方法は?

最低賃金以下だったら?

実際に自分の時給を計算してみて、最低賃金を下回っていたら、会社に掛け合いましょう。
もし、会社が時給の上昇に応じてくれなければ(最低賃金には従う義務があります)、転職を考える必要があるかもしれません。

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