一人で暮らす人が増えると同時に、一人暮らしでペットを飼っている人も増えているようです。
ペットを飼っている人にとっては、自分がいなくなったときにペットはどうなるかは心配事項でしょう。
また、一人暮らしでなくても、ペットに財産を遺したいという人もいるでしょう。
ペットも家族の一員と考える人にとっては、ペットに財産を渡したくもなるでしょうが、ペットに相続させることはできるのでしょうか。
結論から言うと、ペットに相続させることはできません。
ですが、相続以外の方法で希望を叶える方法について考えてみます。
ペットを相続することはできる
法律上ペットを相続人にすることはできません(参照:相続人と相続分)。
したがって、ペットに財産を相続させることはできませんが、反対にペットを相続することはできます。
ほかの財産と同様に、相続人がペットを相続することになります。
なので、ペットの世話を任せたい人を「遺言書(遺言)」で指定しておけば、その人に自分の死後のペットの世話を任せることが可能となります(参照:遺言書に記載すること・できること)。
遺贈を活用する
家族(相続人)がいる人は、相続人にペットを任せることができますが、もし相続人がいない、あるいは家族がいてもペットの世話ができない(ペット飼育不可のマンションに住んでいる、など)場合は、ほかの人にペットを任せることを考えることになります。
その方法として、遺贈が活用できます(民法964条)。
(包括遺贈及び特定遺贈)
民法第964条
遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。
遺贈をする場合は、遺言書(遺言)を作成します(参照:遺言書には3つの種類)。
遺言書の中に、ペットの世話を頼みたい人に「ペットを遺贈する」旨を記載します。
ただし、この場合は遺贈の受取人に指定された相手がペットを受け取りたくないと思えば、ペットの遺贈はされません。
ただし、ペットの遺贈では、ペットの世話だけを押し付けることになってしまうので、世話をしてくれる感謝の意味を込めて、ある程度の(あるいはすべての)財産の遺贈をするといいでしょう。
その際は、「ペットの世話をすることを条件に財産を遺贈する」旨の記載にすることになります。
ペットの世話をするという負担が付いている遺贈、ということで、「負担付遺贈」と言います。
ペットの負担付遺贈では、遺贈の受取人に指定された相手がペットの世話をしたくないと思えば、遺贈の効果もなくなり、財産をもらうことはできません。
遺贈も負担付遺贈も、遺言書でいきなり指定するのではなく、生前からあらかじめ「自分の死後はペットのことをお願いします」という気持ちを伝えておくと、断られるおそれを減らすことができます。
なお、強要することはできませんから、ペットの世話を引き受けてくれるかどうかは最終的には相手の判断に委ねられることになります。
生前に約束しておく
遺贈は自分の死後の問題となりますから、やや確実性に欠けるということもできます。
やはり生きているうちにきちんとペットの今後をケアしておきたいという人は、「負担付死因贈与」を活用するといいでしょう(民法553条、554条参照)。
(負担付贈与)
民法第553条
負担付贈与については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用する。
(死因贈与)
民法第554条
贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。
遺贈であればペットの世話をお願いされた人は断ることができますが、負担付死因贈与の場合は断ることができません。
負担付死因贈与というのは、贈与の一種です(民法549条)。
贈与は、ある人がほかの人に財産を譲ると言い、その相手が財産を受け取ることに同意すると成立する契約です。
(贈与)
民法第549条
贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。
遺言による遺贈と違って、負担付死因贈与は、生前に約束しておくことができますから、確実にペットの世話を頼む人の意思を確認することができます。
もし受遺者(本人の死後、財産を受け取ることになる人)ペットの世話をしたくないなら、贈与の契約をする段階で断ることになります。
その際は、別の人を探すことになります。
負担付死因贈与を活用してペットの世話をゆだねる場合は、負担付死因贈与の内容を記載した契約書を作成しましょう。
口約束でも構いませんが、負担付死因贈与が効力を発揮することになるのは死後のことですから、契約書として残すことで相手に確実に世話をしてもらえるようになります。
契約書を「公正証書」として作成すれば、より確実になります。
ペットに相続させることはできません
以上、説明してきたように、ペットに相続させること自体はできませんが、遺言などを活用することによって、ペットの行く末を確保することは可能です。
自分の死後のペットの世話を誰かに頼むときには、あらかじめ相手の意向を確認しておくことが大事です。
一方的な押し付けではよい結果は実現できません。
元気なうちから準備を始めましょう。
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