同性婚訴訟の判決:今後の見通しの予測

2023年6月8日、福岡地裁で行われていた同性婚をめぐる裁判において、同性婚が認められていない現在の状態を「違憲状態」とする判決を出しました。
この判決において、全国各地で行われていた5件の一連の判決が出そろったとのことです。
5件の地裁判決では「合憲」と「違憲」の両方の判決が出されており、結論が分かれた形となっています。

裁判自体は、これから高等裁判所、最高裁判所と進んでいくものと思われます。
最終的には最高裁が統一的な判断を示すと思われますので、地裁判決そのものの是非などについてはここでは触れません。

同性婚は制度化されるか

ここで問題にしたいのは、「同性婚は今後制度化されるのかどうかについて」です。

憲法が結婚(婚姻)について直接定めているのは憲法24条です。
条文上は、憲法が「異性婚」を定めているように読めます(憲法24条1項)。
裁判では、憲法は「男女」間の婚姻以外の婚姻関係を認めているのかが問題になりました。

第24条
第1項
 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
第2項
 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

出典:e-Gov法令検索 憲法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=321CONSTITUTION_19470503_000000000000000&keyword=%E6%86%B2%E6%B3%95)

5件の地裁判決においても、憲法24条1項が同性婚を認めているという判断は示されていません。
しかし、憲法24条2項において、同性婚が認められる余地があるとの判断を示している判決もあります。
条文を素直に読む限りは憲法は「異性婚」のみを制度化していることになりそうです。
裁判において、同性婚を認めないのは憲法違反であると判断されれば、同性婚は法制度化されることになります。
しかし、まだ裁判が継続している以上、その結論がどうなるのかは分かりません。

同性婚を制度化する方法

今後の日本の婚姻制度のあり方を決定づけるのは、憲法24条は同性婚を「禁止」しているのかどうかです。
裁判所が、憲法は同性婚を禁止していると判断する場合、同性婚が制度化されることはありません。

その場合は、憲法を改正して「同性婚」を含めた婚姻制度を設計すれば解決しますが、憲法改正は現実的な選択肢とはなりがたいと言えます。
同性婚だけのために憲法改正が行われる可能性は非常に低いものと思われます。
現実的には、憲法24条が同性婚を「禁止していない」との解釈の下、同性婚を制度化する法律を制定することになるでしょう。

LGBT理解増進法は追い風になるか

当職は、憲法は「同性婚を積極的に認めているわけではないが、禁止しているのでもない」と考えます。
そのため、どうすれば同性婚が制度化できるかという視点で考えていますが、その追い風となりそうなのが、2023年6月10日現在国会で議論されている「LGBT理解増進法(性的指向および性同一性に関する国民の理解増進に関する法律)」の存在です。
LGBT理解増進法が制定されれば、同性婚への道筋がつくのではないかと考えられます。

しかし、一足飛びに事態が進むとは思われません。
実際には同性婚裁判の行く末とリンクして、少しずつ時間をかけながら同性婚の制度化が図られるものと思います。
当職は同性婚の制度化まで、あと5年から10年ほどの期間が必要であろうと見越しています。
もちろん、国民の理解の進展によって、その時間は短縮されることがあり得ます。
まずは、国民がLGBTに関して理解することが先決です(LGBTについて詳しくは、一般社団法人LGBT理解増進会)。

同性婚はいずれ制度化される?

思うに、同性婚はいずれは法制度化されるでしょう。
同性婚の制度化による社会的な影響は少ないものと考えられます。

すでに、戸籍上の性別変更が制度化されており(参照:裁判所「性別の取扱いの変更」、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律)、同性婚の制度的な問題は少ないものと思われます。

(性別の取扱いの変更の審判)
第3条
第1項 家庭裁判所は、性同一性障害者であって次の各号のいずれにも該当するものについて、その者の請求により、性別の取扱いの変更の審判をすることができる。
一 十八歳以上であること。
二 現に婚姻をしていないこと。
三 現に未成年の子がいないこと。
四 生殖腺せんがないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。
五 その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。
第2項 前項の請求をするには、同項の性同一性障害者に係る前条の診断の結果並びに治療の経過及び結果その他の厚生労働省令で定める事項が記載された医師の診断書を提出しなければならない。

出典:e-Gov法令検索 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=415AC0100000111)

多様性の一環

性に関する多様性(ダイバーシティ)の推進が後戻りすることはないでしょうから、今後、さまざまなことが変革していくものと思われます。
その一つが今回の同性婚ということになります。
もちろん、結婚は男女(異性同士)で行うものであって、同性婚は認められないというのも一つの考え方です。
それを否定するのも多様性の否定でしょう。
ただ、時代が求めているものに適応していかざるを得ないでしょう。

同性婚が制度化されるまでは

しかし、同性婚が制度化されるまでは、事実上の関係にとどまらざるを得ません。
現状で同性婚のような状態を実現するには「パートナーシップ制度」の利用を考えることになります(参照:同性カップルの「結婚」)。
パートナーシップ制度は法律上の制度ではありませんから、やや不自由な仕組みであることは間違いありません。

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